これも、偶然というか必然なのか、不思議な運命を感じる出会いをした本。たまたま同じ新聞広告を見たネット仲間とこの作者の本を読んでみたいと話していたら、娘が友人から借りたと持ってきたのが、これ。

第一話：CALLING　YOU
　いまどき珍しく、携帯電話も持たず、プリクラも撮らないリョウは、周りのひとたちとうまく人間関係を結べず、いつも孤独を感じてる。やがて彼女は、ある特殊な方法で、生まれて初めて心を通わせる友人を得る。たとえ相手の顔を知らずとも、直接会っていなくとも。でも、実際に相手と会うことを決めた、そのとき…。
主人公の描写が、どこかでとてもよく知ってる人みたいで、読んでて(◎-◎;)!!とした。そして、主人公以外の友人たちが、携帯電話が結ぶ網の目に向かって会話してる姿の描写など、身近な世界と重なって、どんどんストーリーに引き込まれて行って。…悲しいお話なんだけど、ちゃんと救いが用意されているせいか、つらい涙ではなく、心癒されるような、暖かさを感じる。だから、ラストの落ちには、はっ！とさせられた！(;^_^A
このお話、大好きです…！高校生の頃の自分に、読ませたかったなあ！

第二話：Kizu／KIDS
　これは…あまりに痛々しいお話で。ちょっと…読んでてつらかった。(T_T)でもね、主人公の前向きなところが好き。
　わかるわかる、生きるってつらいよね…でも、何かひとつだけ、信じられるものがあれば、生きてゆけるんだよね。そして。悪いことのあとには、きっといいことがやってくるよ。そう、彼らの肩をたたいて言ってあげたい。

第三話：華歌
　これも、傷ついたひとたちのところへ訪れる、現代の神話。ってとこかな。　やっぱりラストは、お～っとぉ、そう来たか！という感じだった。語りがうまいから、落ちを予想するどころではなかった(^-^;

　これらの話を書いたのが、大学の学部生の頃だと言うのでさらにオドロキ。彼が17歳でデビューしたと言うことは聞いてたけど、本当にすごい…。子供の心をここまで描写しながら、同じその子供の目線で、大人の世界を見つめてるだよね。愚かで残酷な大人たちを、まるで、いたわるかのような、共感を込めて。
　もうちょっと、頑張れるな。そう思わせてくれる本です。